いまだ子どもたちの間で、根強い人気のあるアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」と「妖怪ウォッチ」。この2つに共通しているのが「妖怪」を題材にしているということですよね。
思えば「妖怪」は、はるか昔より日本人の間で、創作の題材として親しまれてきました。江戸時代には、鳥山石燕(せきえん)という浮世絵師が様々な妖怪を描いており、水木しげるさん自身が石燕にはかなり影響を受けたと後に語っています。
文学の分野では、作家の京極夏彦さんが執筆した「百鬼夜行シリーズ」が、いくつも映画、テレビドラマ化されるなど、やはり日本人と妖怪は切っても切れない関係にあるといえそうです。
いつの時代も私たちを魅了してやまない「妖怪」たち。今回は、子どもと一緒に妖怪たちに”会いに行く旅”に出てみようと思います。
身近なスポットからマニアックな秘境まで…いざ、妖怪の世界へ。
鬼太郎を知りつくす
出典:しまね観光ナビ
島根県境港市・水木しげるロード
「ゲゲゲの鬼太郎」の生みの親、水木しげるさんの出身地で「妖怪の町」としても有名なのが島根県境港市。
出典:しまね観光ナビ
JR境港駅からまっすぐに伸びる「水木しげるロード」は、妖怪ブロンズ像をはじめ、お店、駅、交番、外灯、公園まで、全てが妖怪づくし。まるで町ごと妖怪テーマパークになってしまったかのよう。
出典:しまね観光ナビ
2018年7月に25周年を迎えた水木しげるロード。20017年には「世界妖怪会議」という新しいスポットも登場しています。
妖怪ブロンズ像たちが会議を開いており、一緒に腰掛ければ、自分も妖怪会議に参加した気分になれます。近くには鬼太郎や悪魔くんのイラストパネルも設置されており、パネルと一緒に記念撮影もできるフォトスポットとなっています。
島根県境港市・水木しげる記念館
出典:しまね観光ナビ
水木しげるさんの描いた妖怪の世界を紹介するミュージアムです。
妖怪漫画だけではなく、その他の水木作品が並ぶ「漫画ワールド」や、水木さんのアトリエを再現したり、直筆の壁画や代表作の原画(複製)を展示する「水木ギャラリー」、漫画に登場する妖怪たちが棲む「妖怪洞窟」など、たくさんの展示物で水木しげるさんの世界へといざないます。
水木しげる記念館:http://mizuki.sakaiminato.net/
東京都調布市・駅前商店街
出典:京王グループ
鬼太郎の作者、水木しげるさんの第二の故郷と言われているのが東京の調布市。水木さんが、昭和34年から移り住んだのが調布市で、同市の名誉市民でもありました。
調布駅の北口から商店街を歩いていくと、目玉おやじ、鬼太郎、ねずみ男、一反木綿、ねこ娘、ぬりかべなど、様々な妖怪たちに出会うことができます。
東京都調布市・布多天神社
出典:布多天神社
訪れた際には、ぜひ鬼太郎おみくじを引いてみてください。鬼太郎や目玉おやじ、ねずみ男などのキャラクターがあなたの運勢を占ってくれますよ!
東京都調布市・深大寺「鬼太郎茶屋」
出典:鬼太郎茶屋
「自然との共存」というテーマが根底に流れる「ゲゲゲの鬼太郎」。この場所には、人や妖怪、鳥・動物・虫たち、地球上に住むすべての生き物との共存が表現されています。
深大寺は、都内でも有数な緑豊かな地として知られ、そこに建つ築40年あまりの木造建築「鬼太郎茶屋」は、訪れた人を懐かしい気分にさせてくれることでしょう。
妖怪ショップ
出典:鬼太郎茶屋
「妖怪ショップゲゲゲの森」は、駄菓子屋風の店内にところ狭しと妖怪グッズだちが並んでいます。ここでしか手に入らない限定グッズもありますので、ぜひお子さんと一緒にチェックしてみてください。
出典:鬼太郎茶屋Twitterより
こちらは中に鬼太郎のキャラクターたちが入ったスーパーボール。子どもだけでなく大人も欲しくなってしまいますよね。
出典:鬼太郎茶屋Twitterより
隣接する屋台では、ちりめんじゃこを具と衣に練りこんだ「じゃころっけ」や、目玉のおやじの焼き印が押された「目玉のおやじまん」などを買うことができます。
中でも子どもに人気なのが、目玉のおやじをモチーフにしたお餅がのった「白バラ牛乳ソフト」。とても濃厚で、これ一つでかなり満足感がありますよ。
妖怪喫茶
出典:鬼太郎茶屋
店内にはぬりかべのベンチなどがあり、雰囲気たっぷり。窓の外、緑の中に妖怪たちが隠れているので、お子さんと一緒に探してみてくださいね!
妖怪ギャラリー
出典:鬼太郎茶屋
「妖怪ギャラリー」には、水木しげるさんが描いた妖怪の原画や、のぞき穴をのぞくと小さな妖怪たちが現れる仕掛けなどがあります。未就学児までは無料で入れるというのもうれしいですよね。
さて、ここからはさらにディープな世界へ。妖怪の伝説が残る地へ、妖怪探しの旅に出かけます。
東京都台東区・曹源寺(かっぱ寺)
出典:曹源寺HPより(作画・手塚治虫)
江戸の後期、浅草は雨が降ればすぐに水浸しになるような水はけの悪い土地でした。そこで近くに住む喜八という男が工事を始めると、不思議なことに信じられないようなスピードで工事が進んだそうです。喜八が不思議に思い確かめたところ、かつて命を助けた隅田川の河童が夜な夜な手伝っていたのだとか。
こうしたことから、この地ではかっぱに出会うと良いことがあるとされ、今も人々から厚い信仰が寄せられています。
新堀川に掛けられた橋が「合羽橋」、そこから下に向う道が「合羽橋通り」と名づけられたのは、この伝説がもとになっていると言われています。
そんな地にある曹源寺の河童堂には、手塚治虫さんや水木しげるさんなどの絵や、河童の手のミイラが展示されています。
河童がどんな姿をしているのか…お子さんと一緒に確かめてみてください。
徳島県三好市・こなきじじいに会える街
出典:徳島県観光情報サイト 阿波ナビ
徳島県の山間部などで言い伝えられてきた妖怪が「こなきじじい」。老人の姿なのに、子ども(児ども)のように泣く(啼く)ことから「児啼爺」と呼ばれるようになったとか。
「道の駅大歩危 妖怪屋敷」ではこの土地に伝わる妖怪の模型の展示や、妖怪に変身して写真が撮れるコーナー、小さな子が遊べるプレイルームなどもあり、子どもに優しい施設となっています。
出典:大歩危祖谷観光ナビ
他にも、藤川谷にはこなきじじいの石像が建てられています。台座の「児啼爺」の文字は水木しげるさんが書かれたそうですよ。
沖縄県名護市・キジムナーに会える巨大ガジュマル
出典:名護市写真提供(名護市観光協会HPより)
「キジムナー」は、沖縄諸島で言い伝えられてきた妖怪で、樹木に宿る火の精霊として知られています。主にガジュマルの木に宿っているとされており、見た人によると「赤い髪をした小柄な少年」のようだとか。
キジムナーに会えると噂の樹齢300年・国の天然記念物の巨大なガジュマルの木が見られるのが、沖縄県名護市。この巨大ガジュマルには、キジムナーが12匹住んでいると言われています。横にある石碑が「ひんぷん」のように見えるため「ひんぷんがじゅまる」と呼ばれています。
※「ひんぷん」は門と家屋と間に建てられた屏風状の壁のこと。悪霊を防ぐ目的があるとも言われています。
東京都文京区・妖怪に会える宿「鳳明館(ほうめいかん)」
出典:鳳明館HPより
本郷に昔からある老舗の旅館、鳳明館。 昭和レトロを地で行くこの宿に、実は裏の顔があることをご存知でしょうか?
月に一度だけ、人間の世と妖怪の世を繋ぐ扉が開き、多くの妖怪たちが遊びに来るというのです。 特殊な紋を身に着ければ、人間もその日だけは妖怪と認められるということですがその真相は…
出典:妖怪の宿 鳳明館より
実はこれ毎月、第1日曜日だけ行われるイベントで、妖怪通貨を使いカフェで飲食を楽しんだり、出店で妖怪グッズを購入したり、キツネのお面に絵付けをしたりするというもの。
カフェのメニューや販売するものは毎月変わるそうですが、いずれも妖怪がテーマだということです。
浴衣とタオル付きのお風呂が利用できるパックもあるということなので、パパママも旅行気分が味わえ、リラックスできますよ。
山形県東村山郡・座敷童に会える「タガマヤ村」
出典:タガマヤ村HP
座敷童は座敷や蔵に住む神様で、おかっぱの髪の毛をした小さな子どもの姿をしていると言われています。
夜中に音を立てて遊んだり、寝ている人の枕をひっくり返したり、いたずら好きなことで知られますが、住みついた家に幸運をもたらす福の神と考えられいることから、お菓子や人形をそなえるなど手厚い歓迎をうけています。
出典:タガマヤ村HP
そんな座敷童が住むと言われるのが、山形県東村山郡の「タガマヤ村」。座敷童に会うと、一生幸せになるという言い伝えがあるこの村を、1日1組限定で貸し切ることができます。
タガマヤ村は旅館や民宿ではなく、敷地面積1,500坪に建つ個人の屋敷。卓球に興じたり、バーベキューを楽しんだり、秘密基地を散策したりと、たくさんのアクティビティを楽しむことができます。
夜には、座敷童の部屋で布団を敷いて休みます。テレビ番組でとある俳優さんがこちらの部屋に泊まった際は、ギィギィと床が音をたて、置いてあった風船がフワフワと移動し、オルゴールが鳴り出すなど、座敷童が来たことを感じさせる出来事がかなり起きていました。
あなたも運が良ければ座敷童に会うことができるかもしれませんよ。
妖怪に会いに行こう!まとめ
今回は「子どもと一緒に妖怪に会いに行くおでかけ」についてお届けしましたが、いかがでしたか?
妖怪といっても、おどろおどろしいものではなく、福をもたらすなど、親しみやすい妖怪ばかり集めましたので、ぜひお子さんと一緒に出かけてみてください。
お子さんが「ママ~、あそこにいるのだれ…?」なんて言い出しても、決して驚かないでくださいね。
だって、きっとそれは…。