那智山青岸渡寺は、一千日の滝篭りをされた花山法皇が永延2年に御幸され、西国三十三ヶ所第一番札所として定めたとされる場所。如意輪観世音を祀る本堂は、天正18年に豊臣秀吉が再建したもので、桃山時代の建築をとどめた造りは、国指定の重要文化財になっています。本堂を北側に下りたところにある三重塔は、朱塗りが鮮やか。塔の2階と3階は展望場所となっていて、特に2階は那智大滝のビュースポットです。周辺は散策できる場所が豊富なので、ゆっくりと歩いてみるのがおすすめ。
補陀洛山寺は浜の宮王子の守護寺、また那智権現所属の七ヶ寺の本願のひとつで、補陀洛渡海の出発点として知られるお寺です。補陀洛渡海とは、平安時代から江戸時代にかけて、小さな船に外から釘を打ちつけて航海に出て、「生きながらにして観音浄土を目指す」というもの。2004年7月にユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録されました。重要文化財に指定されている、ご本尊の千手観音は苦悩する人々を救うとされ、見どころのひとつです。